診療科のご案内

漢方内科

漢方医学の歴史

日本の漢方医学は、中国より伝来した医学をもとに、主に江戸時代に大きく花開きました。
日本の季候風土に合うように薬量を調整し、腹診法などの診断技術が加えられ、独自に発展したのです。
明治時代、西洋医学が国の標準医学と決められたため漢方医学は一度すたれましたが、昭和に入り先人の努力によって復興し、現在に至っています。

漢方薬とは?

漢方薬は、生薬と呼ばれる天然の植物、動物、鉱物由来の薬物の組み合わせで出来ています。
元々は、組み合わせた生薬を煎じ、その煮汁を飲みましたが、現在はエキス剤と呼ばれる顆粒状の薬剤が多く用いられています。

神戸海星病院漢方内科の特色

(1) 東西医学の融合

疾患・症状によっては漢方治療よりも西洋医学の方が優れているものもあります。
また、西洋医学と東洋医学(漢方)両方を取り入れることで、より治療効果が上がる場合や西洋医学的治療で生じる副作用を軽減させることもあります。
当院では、漢方治療だけにこだわることなく東洋西洋両医学の『いいとこどり』を目指しています。

(2) 循環器疾患の漢方治療

当院の漢方内科担当医は全国的にも数少ない『漢方+循環器』の専門医です。

2013年春には『循環器医が知っておくべき漢方薬』という本も上梓し、循環器内科と漢方内科をつなぐ診療を目指しています。

高度に進んだ循環器治療において、漢方薬が現代的治療に取って代わる可能性は高くありません。しかし、取りきれない症状の緩和や治療効果の補完、現代的治療による副作用の軽減など、漢方薬には多くの可能性があると考えています。

治療担当 北村 順

治療担当 北村 順

高血圧・肥満などの生活習慣病から、不整脈、胸痛疾患、心不全などの循環器疾患まで、幅広く対応しております。

(3) 漢方薬による癌治療サポート

手術・抗がん剤・放射線治療などによる現代のがん治療は目覚ましい進歩を遂げています。しかし、その一方で治療による副作用で苦しむ方や治療効果が十分に上がらない患者さんがおられることも事実でしょう。
昨今、がん治療の現場において漢方が注目されています。標準的ながん治療は身体の外から癌を攻撃しますが、漢方薬は自然治癒力の向上を促し、身体の中から治療をサポートします。

<癌と戦う身体作り>
癌と戦うためには、身体の本来持っている自然治癒力の向上が欠かせません。
漢方薬は、『気』または『正気』と呼ばれる体を健康に保つために必要なエネルギーを補うことにより、病気と戦うための自然治癒力を高めます。

<西洋医学による標準的がん治療のサポート>
手術・化学療法(抗がん剤)・放射線治療などの治療は、がん細胞のみならず正常な組織にもダメージを与えます。その結果、病気と戦う体力・気力が低下してしまう可能性があるのです。漢方薬は、標準的がん治療によって低下した体力を底上げします。

<化学療法・放射線治療による副作用の緩和>
化学療法(抗がん剤)・放射線治療の副作用として、手足のしびれ、嘔気・食欲不振、倦怠感などが生じる場合があります。漢方治療によって、そのような症状の緩和を目指します。

西洋医学によるがん治療を行っておられる先生方が、漢方薬の使い方に慣れておられるとは限りません。神戸海星病院漢方内科では、他院で癌治療中の患者さんの漢方治療相談もお受けしております。
(⇒主治医の先生に『漢方治療を併用してもよいか』あらかじめご確認下さい。)

  • 保険診療ですので、保険外の高価な薬を勧めることはありません。
(4) 入院中の漢方治療

当院は入院病床をもつ病院ですので、入院中の患者様にも漢方治療を行っています。

(5) 鍼灸治療の併用

漢方治療と鍼灸治療は東洋医学の両輪です。当院併設の鍼灸科と協力して、より質の高い治療を提供致します。

漢方内科の対象となる疾患

基本的に全身のあらゆる病気、症状の治療を行います。
ただし、明らかに西洋医学治療の方が優れていると思われる疾患に対しては、漢方治療をおすすめしない場合もありますのでご了承下さい。

漢方が比較的得意としている疾患・症状は以下のようなものです。

診察室

診察室

冷え症、のぼせ、めまい、ふらつき、むくみ、更年期障害、月経不順、生理痛、頻尿、尿もれ、便秘、慢性下痢、お腹が張る、汗かき、寝汗、食欲不振、胃もたれ、万年風邪、虚弱体質にともなう症状(風邪を引きやすいなど)、老化にともなう症状、検査をしても異常のない症状、がん治療のサポート、その他